長距離走は体力・精神力を鍛える
2月2日。前日は雨が降り、天候が心配されていましたが、当日は曇り空ながらお天気も安定。昨年に引き続き今年も中学生の長距離記録会が、向島グラウンドで開催されました。朝9時前、体操服姿に着替えた生徒たちが整列します。風が少なく、体感的な寒さはここ数日に比べるとかなりましでしたが、それでも開会式前の気温は4℃。体操服のうえからコートを羽織る生徒の姿も。
2021~22年度、記録会はコロナ禍で中止となり、昨年2年ぶりに復活しました。洛南高校附属中学校が開校して以来ずっと続けられているイベントだけに、今年も無事開催できたことはとても喜ばしいことです。生徒たちは約1か月の練習を積み、それぞれのタイム更新に努めてきました。
先生が競技中の注意点や、走者のタイムを確認する記録係の注意点などを伝えたあと、堀校長先生からの挨拶です。
「長距離走は過酷な競技ですが、過酷なぶんだけ体力はもちろん、持久力が養われます。それと同時に、困難に臨む際の精神力も培われます。これまでの練習の成果を存分に発揮してください。」
その後、生徒会長からの挨拶、そして選手宣誓では、代表生徒が健闘を誓いました。
生徒の健康や体調に十分配慮して開催
今年の長距離記録会はグラウンドに長方形の変則的なトラックを作り、一周375mの距離を8周、計3000mを走ります。午前の9時より3年生、11時すぎに2年生、そして午後の1時すぎから1年生がそれぞれグラウンドで走りました。また、記録会までの練習の成績により、各学年は記録タイムで3つのグループに分けられています。15分以内の記録を出したAグループ、15分代後半までの記録を出したBグループ、そして17分台のCグループです。
このグループごとに、競技・記録・準備を持ち回りで行います。たとえばCグループが走っているときは、Aグループが記録係を担当し、その間にBグループが準備を行う、という手順です。記録係は走者のタイムを記録することはもちろん、走者がスタート地点を通過するたびに「あと●周!」と伝える役割を担います。各学年はそれぞれ7クラスで、それぞれ組ごとに色分けされた黄色・紫・緑などのハチマキを頭に巻いて参加。このハチマキの色に基づく走者の確認により、クラス別の成績が集計されるため、競技中のハチマキ着用は厳守です。
昨年度、マスクの着用は任意でしたが、マスク着用での長距離走はかなりの負担です。そのため、今年はほとんどの生徒がマスクなしで競技に臨みました。その他、競技中に体調が悪くなった場合はコースの外側を歩くことを指示するなど、「最後まで走る」ことを前提としながら、生徒たちの体調に万全の配慮を踏まえたうえで記録会は実施されました。
自分に負けることなく、全力で走りぬく!
スタートラインに生徒たちが集合、いよいよ競技が始まります。
時折、曇り空から晴れ間が覗くこともありましたが、気温はかなり低いまま。多くの生徒がジャージ上下着用のうえ、競技に臨みました。しかし中にはTシャツ半パン姿で気合十分の生徒の姿も。スタートラインに並ぶ生徒たちは少し緊張した面持ちながらも元気いっぱい。
それぞれの目標を聞いてみました。
「とにかく、3キロを走り切りたい。それだけで十分(3年男子)」「止まらず、走り切ること(3年男子)」と『とにかく完走!』を誓う生徒もいれば、「絶対に15分を切る!(3年女子)」「一周を1分45秒ペースで走りたい(3年男子)」「14分を切れるよう頑張りたい(2年男子)「16分の自己ベストを超える!(1年男子)」と、具体的な数値目標をもって臨む生徒や、「女子1位を目指す!(2年女子)」「ぜったい3位以内で入賞!(2年男子)」と順位にこだわりを見せる生徒も。
友達を指さして「彼を抜かしてゴールする!(2年男子)」と宣言する生徒に対して、「じゃ、僕は彼を抜かすのが目標!(2年男子)」と応酬する生徒もいて、みんなやる気十分です。
しかし何より大切なのはタイムよりも誰かに勝つよりも、
「とにかく自分の最大限を出してベストを尽くしたい(1年女子)」という生徒の言葉にあったように、自分と戦い、自分に負けないこと。1年生以外は昨年度の自己記録を塗り替えるため、そして全員がこれまでの練習でのタイムを縮めるため、自分自身との戦いに挑みます。
さあ、ピストルの音も高らかに、待ちに待ったスタートです!
強豪・洛南高校陸上部・長距離チームが先導・伴走
走りにベストを尽くす生徒たちに、タイム記録を担当する生徒たちが声援を送ります。
「がんばれー!」「その調子!」と選手たちを励ます声もあれば、「本気出してけー!」「●●! ●●に抜かれるぞ!!」「歩くな!」と厳しく鼓舞する声も。スタートまでの寒さも忘れ、走る生徒たちはもちろん、応援する生徒たちも熱気に包まれました。
当日、長距離記録会に協力したのは洛南高校陸上部長距離チームの選手たち。1月の第100回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)では全国の高校で最多、13人の卒業生が出場しており、11月の京都府大会では9連覇を達成。12月の全国高校駅伝でも7位入賞を果たしています。そんな強豪チームのメンバーが、生徒たちとともにグラウンドを走り、先導と伴走を担当しました。京都府内はもちろん全国でもトップクラスの精鋭たちとともに走ることができるチャンスに、生徒たちのやる気も最高潮。
先生たちも沿道から「●●くん!もっとペース上げて!」「諦めんと走れ!」と応援します。先頭集団を占めるのは陸上部、サッカー部、バスケ部といった体力・持久力自慢の生徒たち。「記録係、ラスト3周からちゃんと声かけてやれよ!」と先生から指示が。ペースを落としてしまった生徒も友達の声援に支えられ、ひたすら全力でゴールを目指します。
また、2年生・1年生の部では若い先生方や走りに自信のある先生たちも参加。生徒たちに負けじとトラックを走りました。
タイムと達成感、学校生活の大切な思い出を胸に
次々とゴールする生徒たち。そのままグラウンドに大の字で倒れ込む生徒の姿も見られました。ゴールした走者に駆け寄り、タイムを知らせる記録係の生徒たち。
レースを終えた生徒たちに感想を聞いてみました。
「練習を含めて自己ベストが出せました!(3年男子)」「いつもよりペースを上げて頑張り、女子1位に。うれしいです!(3年女子)」「普段の練習より速く走れた。たぶんみんなの応援のおかげ(3年男子)」「1年前よりタイムが縮まらず悔しい! 来年はもっといい結果を出したい(2年女子)」「最後の1周は全力を出し切ったので、すごく達成感があります!(2年男子)」「完走できたこと、今までで一番のタイムで走れたことがうれしいです(1年女子)」「途中で心が折れそうになる瞬間があったけど、洛南高校陸上部先輩の先導のおかげで走り切ることができました(1年生男子)」
閉会式では個人、クラス別の順位が発表され、表彰状が授与されました。
「京都府No.1の洛南高校陸上部・駅伝チームと走ることができたというのは、とても貴重な経験でした。皆さん、ほんとうによく頑張りました。自分を褒めてください!」
校長先生から閉会の挨拶。
この長距離記録会を終え、1年生今学年の学外行事は3月のスキー合宿を残すのみ。そして3年生にとっては、これが中学生活最後の学外行事となります。
それぞれのタイムと達成感、そして思い出を胸に、今年も長距離記録会の幕が下りました。