かるた道精神にのっとり正々堂々と!
始業式を行った1月9日、柔道場で「第55回 新春歌かるた大会」を開催しました。いつもは柔道部員たちが心身の鍛錬に励む畳の上に、中学生と高校生が一堂に会して熱戦を繰り広げる洛南屈指の伝統行事です。開会式では、北川辰雄高校校長が「半世紀以上の歴史を持つ大会から巣立ち、山添先生のように現役選手としてがんばっている方がいらっしゃる。みなさんも歌の意味を理解しながら、伝統文化の継承に励んでほしい」と生徒たちにメッセージ。そんな北川校長の“推し”の一枚は崇徳院の77番、一字決まりの「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」だそうです。
高校2年生による「かるた道の精神にのっとり正々堂々と戦う!」という力強い選手宣誓に続き、競技かるた部員が参加してのデモンストレーション。山添先生の読みと解説に合わせ、華やかなハカマにたすき掛け姿の部員たちが鮮やかな手さばきで、お目当ての札を押さえていきます。中には熱くなるあまり、大会では“禁じ手”の払い手で札を飛ばす部員もいて、そのたびに生徒たちの間から「オーっ!」という声がわき起こり、会場はいやがうえにも盛り上がります。
【ルール解説】
中学は学年別・クラス代表3名による団体戦、高校は1・2年生合同・クラス代表3名による団体戦で、いずれもトーナメント方式で4回戦(決勝)まで行います。3名のうち、2名が勝ったクラスが次の試合に進みます。1回の試合に使用する札は双方15枚ずつの計30枚で、読まれた札に直接早く触れた方がその札を取り(押さえ手)、相手の札を取った場合は自分の札を一枚渡します(送り札)。自分の札が先に無くなった方が勝ちとなります。札を飛ばす“払い手”は禁止です。競技かるた部員の出場は各クラス1名で、部員は必ず1番席に入ります。
“シャドーかるた”でウォーミングアップ
競技開始に先立ち、選手たちは時間をかけ、自陣に15枚の札を並べていきます。左右対称にしたり、ランダムに置いたり、並べ方はまさに十人十色。そんな中で、決まり字が少ない札、つまり相手にねらわれやすい札や、“推し”の一枚を自分が取りやすい位置にキープするなど、競技かるた部員の並べ方はやはりひと味ちがいます。
おそろいのTシャツを着た部員も制服姿の一般生徒もレスリング選手のように前傾視線になり、“シャドーボクシング”ならぬ“シャドーかるた”のように手をしきりに動かすなど、みんなウォーミングアップに余念がありません。
応援団の声も大きなチカラに
ザワザワしていた柔道場が静まり、読み手が上の句を読んだ瞬間、あちこちから“ピシッ”、“バシッ”と畳を叩く音が聞こえてきます。そして、ざわめきが起こったかと思えば、ふたたび柔道場全体がシーンとする。この緊張と緩和の連続が1回戦から4回戦まで、およそ2時間にわたり続きました。そのあいだには互いに譲らない熾烈な戦いもあれば、ワンサイドゲームもあり、思わずバンザイをする選手もいれば、がっくりとうなだれる生徒もいて、試合ごとにドラマがありました。また、ことしはコロナ禍以前のスタイルに戻り、“コートサイド”に応援団が陣取っていることから読み上げの合間に“ファイト!”や“ナイス!”といった掛け声が上がり、熱戦をさらにアツくしました。
腹がへってはなんとやら、ということで1回戦終了後に「よもぎ大福」の差し入れがありました。集中力をフルに発揮しておなかが空いていたのでしょうか? おもちを受け取るやいなやほおばる生徒がたくさんいて、みんなの美味しそうな笑顔も印象的でした。
伝統文化継承の一翼を担う
中学・高校とも優勝・準優勝のクラスが参加しての閉会式では、図書館長の那須先生が表彰に続き、「次世代を担う中学生と高校生が一堂に会し、いにしえの和歌を読んで聞いてかるたを取り合い、応援する。このような行事が半世紀以上も続いてきたことは、文化継承にたいへん有意義なこと」という講評を行い、55回目の新春歌かるた大会は幕を閉じました。
今回も1回戦から4回戦まで、全試合の読み手を競技かるた部員が担当しました。中1にして大役に抜擢された部員に感想を聞くと、「歌かるたの読みには独特の伸ばしがあるので、その練習に励みました。きょうの出来は70点ぐらいです」とかなり控えめの点数をつけましたが、部員たちはみな重責を見事に果たしました。また、今回も図書委員と競技かるた部員が準備から最後の掃除までを受け持ってくれました。みんなありがとう!
結果は以下の通りです。
【高校の部】
優勝:1年5組 準優勝:2年4組 3位:2年5組、2年6組
【中学の部】
1年 優勝:7組 準優勝:4組
2年 優勝:7組 準優勝:5組
3年 優勝:5組 準優勝:2組