向島グラウンドで3年ぶりの中学長距離記録会

長距離走はただの競争ではない

2月3日、コロナ禍で2年間開催されていなかった中学生の長距離記録会が、向島グラウンドで開催されました。
大会の前週は記録的な寒波が近畿圏を襲い、京都市内でも珍しいほどの積雪がありました。しかし当日の気温は低いものの風も少なく、お天気も上々。制服からジャージに着替えた生徒たちがグラウンドに集まり、まず担任の先生とともにホームルームを行います。

準備が整ったところで、堀中学校長の開会宣言です。
「この長距離記録会は洛南高校附属中学校が開校して以来、ずっと続けられているイベントです。この2年間は開催できませんでしたが、本日、ひさしぶりに開催できたことを心から嬉しく思います」コロナの影響で全国のお祭りや各種イベントはもちろん、学校行事も中止や制限を余儀なくされたこの2年間。天候にも恵まれ、長距離記録会を無事開催できた喜びを、校長先生は生徒たちに伝えます。「長距離走はとてもしんどい競技ですが、そのぶん、体力や持久力が養われます。それは皆さんが勉強や日常生活で辛い局面に差し掛かったときの忍耐力を鍛えます。また、日常的に練習することで疲れにくい身体を作ることもできます。長距離走はただの競争ではなく、自分自身への挑戦。決して無理をせず、頑張ってください」

この記録会に向けて、生徒たちは1ヶ月前から練習を重ねてきました。その成果を思う存分発揮する一日が、今、始まろうとしています。

学年ごとに分かれ、1ヶ月の練習の成果を

感染対策として、競技は学年ごとに時間を分けて行われました。午前の9時すぎに3年生、11時すぎに2年生、そして午後の1時すぎから1年生のスタートです。学年ごとに、事前の記録タイムが早い順にA・B・Cの3グループに分けられ、グループごとに走ります。各学年はそれぞれ7組。それぞれ黄・紫・緑など色分けされたハチマキを身に着けて競技に臨みました。

グラウンドのコースは一周300メートル。このコースを10周して、3000メートルの距離を走ります。生徒たちはグループごとに、競技・記録・準備を持ち回りで実施。たとえばCグループが走っているときは、Aグループが記録係を担当し、その間にBグループが準備を行う、という段取りです。

スタート時点の密集時には、全員がマスクを着用していますが、走り始めると呼吸が苦しくなるのを防ぐため、マスクを外してポケットに入れておくことが推奨されました。また、走行中に辛くなったら、できるだけコースの外周を歩くよう指示も。長距離走はタイムも大切ですが、なにより最後までやり遂げることが大切。できるだけ自分のペースを守り、かつ無理をし過ぎることのないよう、先生からも再々注意がありました。

さあ、スタートラインに生徒たちが集まります。全員、やる気、気合ともに十分。中には寒い中、すでにTシャツ1枚で位置に着く生徒も。でも1ヶ月の練習の成果が試されるだけあって、みんな少し緊張した面持ちです。

それぞれの目標を胸に、スタート!

スタートラインに並ぶ生徒たちに、この日の走りの目標を聞いてみました。
「とにかく最後まで歩かずに完走したい(3年生女子)」「自分のペースを守って走り切りたい(3年生男子)」「去年はCグループだったけど、今年はBグループに入れたので必ず完走します!(3年生女子)」と、“とにかく完走!”と意気込みを語る人が数多く見られました。

また、「練習も含めて、自己ベスト記録を更新します!(1年生男子)」「16分台を目指す!(3年生女子)」「とにかく半分まででいいから先頭集団に入る(3年生男子)」「全体の半分以上の上位を目指す(2年生男子)」「15分は切りたい(2年生男子)」「僕は13分切る!(2年生男子)」と、明確な目標をもって競技に臨む生徒も。

中には「てっぺんを狙う!(2年生男子)」「女子で1位になる!(2年生女子)」「負ける気せぇへん地元やし(3年生男子)」と自信を見せる生徒もいました。

先生から、走っている間の注意点や、走り終えた後のゴールの仕方など、簡単な説明のあと、いよいよスタート!合図のスターターピストルの音が、2月初旬の空に鳴り響きました。一斉にスタートする生徒たち。最初からかなりのスピードで駆けだす人、友達と一緒にペースを合わせて走る人、完全にマイペースを守る人など、みんなが思い思いに走り出します。記録係のグループはもちろん、次の走行準備に入っている生徒たちが、その姿に声援を送りました。

走者たちに贈られる声援「がんばれ!」

「がんばれ!」「その調子!」「いいペース!」とやさしい応援もあれば、「もっとスピード上げろ!」と檄を飛ばす応援も。

「慌てたらあかんぞ!自分のペースでがんばれ!」コースの随所随所に先生たちが立ち、走り抜ける生徒たちの安全に心を配りながら、エールを贈ります。記録係を担当する生徒たちは、走行中の生徒に向かって「あと5週!」「今、●分●秒!」と伝える役割も担います。余裕のある走者は記録係や応援する生徒たちにガッツポーズを見せたり、「よっしゃー!」と答えたりと元気よく対応。「え、まだ5週?」としんどそうですが、それでもガッツを見せてペースを上げる人もいました。

先頭集団にいるのはやはり、さすがの陸上部員たち。バスケットボール部や水泳部の部員たちも、持ち前の体力で必死に食らいつきます。

ちなみにこの日、各学年タイム上位Aグループの競技には中学校で教育実習中の、2020年東京オリンピック男子3000メートル障害で7位(日本人初入賞!)記録保持者、三浦龍司先生が参加。オリンピック選手と走ることができる、というこの幸運に生徒たちのテンションも上がります。三浦先生は先頭を走りながら、後続する生徒たちを振り返って「がんばれ!」「あと●週!」と鼓舞しつつ、レースを先導しました。

レースの後半では若い先生たちも生徒たちと一緒にレースに参加。競技も後半となると生徒たちの表情にもさすがの疲れが。でも、ゴールはあと少しです。みんな、がんばれ!

みんなの最高の走りに、惜しみないエールを

それぞれのレースを終え、ゴールした生徒たちに感想を聞きました。
「苦しかったけど完走できた。練習よりタイムが縮みました(3年生男子)」「走るのは苦手だったけど、マラソンを通して精神力が鍛えられたと思う(3年生男子)」「ちょっと出遅れたけど最後にペースアップできて良かった(3年生女子)」「先頭を走ってたけれど、三浦先生が振り返っては『がんばれ!』と言ってくれた(3年生男子)」「狙ってた女子1位、達成しました!(2年女子)」「2位だった。悔しい!(2年生男子)」「きつくても走り切れたから、それだけで気持ちいいです!(1年生女子)」「これまでで最高のタイムが出た。来年はもっといい記録を出したい(1年生男子)」

ゴールした後は、汗まみれでそのままグラウンドに寝転がる生徒もいましたが、力を出し切ったその表情は爽やかでした。走った者同士でお互いをたたえ合う生徒の姿も。

個人別の結果発表の後は、校長先生からの閉会の言葉が。
「本日は日本のトップランナー、三浦龍司先生と一緒に走るという、皆さんにとってはとても貴重で幸運な機会でした。これからも三浦先生の活躍を応援しましょう。本日はお疲れ様でした。また来年、さらによい結果を目指して頑張りましょう!」

3年生にとっては、この記録会が中学生活における最後の大きな行事。卒業までの残りの日々を大切に過ごすようにと、校長先生は付け加えました。お疲れ様でした!

<大会結果>

3年生の部 – 優勝:6組 準優勝:3組
2年生の部 – 優勝:7組 準優勝:5組
1年生の部 – 優勝:1組 準優勝:4組