ベストパフォーマンスを発表する秋の祭典
10月4日、5日の2日間にわたり、中学・高校合同の文化祭が開催されました。文化祭はこれまで積み上げてきた学習や練習の成果、また、この日のために準備してきた催しものや展示を披露する晴れやかな舞台。前日の豪雨と雷が嘘のようなお天気で、忙しい中、コツコツと準備を進めてきた生徒たちのまさに“晴れ舞台”となりました。
1日目は、第1体育館で、元ウォルトディズニーシー・シニアプロデューサーの大畠 崇央氏による『夢を叶える3つの魔法〜未来のためにできること〜』と題した講演が行われました。従来型の一方的にお話をいただく講演ではなく、生徒が手を挙げたり、壇上でロールプレイをしたり、と能動的に参加できるワークショップ型なので食いつきが違います!また、第一印象の大切さについて、同じ人物の異なる表情の写真を使って説明した上で、ディズニーシーではお客さんと最初に会う駐車場の係りの人まで心構えが行き届くようにしているというエピソードなども興味深く、メモを取りながら聴く生徒の姿もありました。オンタイムに思考を促すことで生徒の興味をひき、周囲を巻き込みながら、楽しませて生産性をあげる大畠氏のお話や姿勢には、今後の学校生活や社会で生かせる大きなヒントがたくさんあったと思います。中でも、企画実現のためには、あるアイデアに対して、「できない、だって(No,because)…」ではなく、「いいね、もしこうだったら(Yes,if )…」で発想を拡げる魔法の言葉は、特に進路選択を間近に控えた高校生には深く刺さるものがあったようです。質疑応答でもこれまで以上に、たくさんの生徒の手が挙がっていました。
続いて披露された恒例の吹奏楽部の演奏では、会場が大きな拍手に包まれました。
2日目は、代表生徒による弁論大会が行われました。
電車の中でバギーの赤ちゃん連れのお母さんが申し訳なさそうにしている様子を見た経験から、不寛容な社会に対しての意見や、小学校時代に勉強もスポーツもできた人気者の同級生が進学先の中学校で不登校になっているという話を知り、何も気づくことができなかった自身の経験をもとに周囲の人ができることについて考えるなど、実に多様な主張がなされました。昨年より中高合同での開催となった弁論大会ですが、さすがに中学生では高校生に敵わないのではないかと不安視する声もあったなか、早くも2年目にして中学生が見事準優勝に輝く快挙を達成しました。しかも中学1年生です!中学生がこれだけ大勢の聴衆に自分の意見を伝えることはあまりない経験だと思いますが、代表生徒だけでなく、聴衆の高校生にとっても、大きな刺激となったのではないでしょうか。
復興支援の物産展やユニークな展示の数々
本館1階では高校生徒会とボランティア同好会による災害復興支援の販売会も盛況でした。
高校生によるクラス展示は、ファストパスの発行をするクラスもあり、テーマパークさながらの対応です。校内は目当ての展示へ急ぐ声、看板やチラシを手に次の開演時間にお客さんを呼び込む声で活気にあふれています。そんな中、4階のコーヒーショップは落ち着いた雰囲気が魅力。窓の外の東寺を眺めながらゆったりとコーヒーを楽しむことができます。令和にちなんで万葉集をテーマにした華道部の展示も癒し度が高めでした。文芸部のアトラクションとストーリー創作を組み合わせた展示もユニーク。ダーツや間違い探しなどのゲームごとに貰える小冊子を集め、製本すると一冊の本が完結する仕組み。高校生がシナリオ制作を担当し、幾通りものストーリーとエンディングを用意。ゲーム結果が良いとバッドエンドを回避できるという、凝った作りでした。
体験型展示は楽しみ方も多彩
本館2階の茶室「山吹庵」では高校茶道部の釜が掛かっています。本物にこだわり、大人顔負けのおもてなしの中にも高校生らしさが垣間見える、ここでしか味わえないお茶席でした。競技かるた部では高校生部員と高校教員による模擬試合が大盛り上がり。様々なローカルルールが適用されていましたが、何と言っても「蒸気でホットアイマスク」で目隠しをした姿がシュール!当初の目的は、経験者に札の並びを直前まで覚えさせないためのハンデでしたが、アイマスクをしたまま札を取ったり、他の先生が活躍する姿を撮影したり…。心眼…?このレベルになると心眼が開くのですか…?
クラス展示で小学生の「これやりたい!!」とせがむ声が頻繁に聞かれたのはハーバリウム体験ブース。確かにこれはやりたくなっちゃいますね。欲張って詰め込みすぎないのがキレイに仕上げるコツだそうですよ。
図書館では今年もビブリオバトルを開催。5人のバトラーが冷静に、時に熱く、推し本を語ります。チャンプ本には高校2年の生徒がプレゼンした『アリエナイ理科ノ大辞典』が選ばれました。
2日目の目玉は模擬店と野外ステージ
高校生による模擬店は看板の装飾も凝っており、それだけでも何を食べようかテンションが上がってきます。で、そんなワクワクした気持ちで仕込みの舞台裏を覗くと「追加の材料まだなん?」「お客さんの列、整理してきて!」「これ以上、待たせられへんで!」と殺気立っていました(笑)。自分たちが楽しみながらも、どうやったら後輩や来場者を楽しませることができるのかを考え、裏側は真剣そのものなのです。
グラウンドに設営された「青春ステージ」ではバンドや吹奏楽部の演奏が行われ、観覧の生徒たちからは大きな声援や手拍子が湧き上がります。
15時の閉会宣言をもって、令和初の文化祭が終了!体育祭、合唱祭と短いスパンで続いた秋らしい行事のトリを飾るのにふさわしい熱気、皆様にもきっと届いたことと思います。